この記事をご覧の方は、通勤や通学で自動車を運転したり、休日に買い物や遊びに行ったりと遠出をするのに自動車を使って出かけているかもしれません。
運転をしている最中に他の車から、ライトのパッシングやクラクションなどであおられたりして怖い思いをしたことがある人もいるでしょう。
大事故の元凶にもなる危険なあおり運転。どのようにして対応していけばいいのでしょうか?
あおり運転とは何か?
あおり運転とは自動車を運転している最中に、前方の車に異常接近して幅寄せしたり、後方の車を怖がらせるために急ブレーキを踏んだり、ライトのパッシングやクラクションでの威嚇などがあります。勿論、交通事故の原因になる危険な行為です。
警察庁が2020年2月13日に公表した集計では、2019年に摘発したあおり運転は一万五千件以上で危険な運転をするドライバーが多い現実を世に知らしめるものでした。
あおり運転の具体的な危険行為
あおり運転による危険行為には次のような物があります。
自動車を運転しながらする危険行為
- 前の車との車間距離を思いっきり詰めて、無理やり進路変更させようとする。
- ライトのパッシングやクラクションにて威嚇する。
- 威嚇している車の前で、急ブレーキを踏む。
- 前の車の後ろにピッタリとくっついていく。抜き去る時に怒鳴りつける。
- 並行して走りながら、幅寄せをする。
- 進路に立ちはだかり停車をさせて、相手の運転手に脅迫や暴行を加える。
特に相手を車内から無理やりおろして暴行を加える行為は、他の後方から来た車にひかれる可能性が高い非常に危険な行為です。
2017年6月5日に起きた「東名あおり運転」はとても悲惨な事件でした。東名高速道路の追い越し車線で停車させて、そこにトラックが追突されたことで2名の命が失われました。
この事件がきっかけとなり、あおり運転の厳罰化の法整備が進むことになりました。
あおり運転に対する厳罰化された法整備について
これまであおり運転そのものを取り締まる法律はなかったのですが、今年令和2年6月30日から「妨害運転罪」が創設されました。たった一回の違反でも運転免許取り消し処分となり、最大で5年の懲役刑又は100万円の罰金が科されることになりました。
以下の10項目が取り締まりの対象になります。
危険な妨害運転の典型例
- 他の車との車間距離を極端に詰めてくる
- ウインカー等で予告することもなしに、急な車線変更を行う
- 後方から車が迫っているのに急ブレーキを踏む
- 無理やり危険な追い越しをする
- 対向車線にはみ出す
- 必要ない場面で、クラクションをしつこく鳴らす
- 必要ない場面で、ライトをパッシングする
- 危険な幅寄せや蛇行運転をする
- 高速道路で低速で運転する
- 高速道路で駐停車する
これらの違反による罰則は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられます。違反による点数は25点です。これは酒気帯び運転と同じ点数ですので、いかに国があおり運転を危険視しているかがわかります。
高速道路で相手の車を無理やり停車させるなどの危険行為をした場合は、「5年以下の懲役100万円以下の罰金」が科されます。
違反による点数は35点で酒酔い運転と同じです。事故を起こさなくても一発で免許取り消しの処分が下りることになります。
以上の罰則規定を見てみても、あおり運転に対しては社会的に厳しいものになっています。路上で他人の運転に腹が立つことがあったとしても、危険なあおり運転は自分と他人の命を危険にさらす行為です。絶対にやめましょう。
あおり運転への予防策について
あおり運転は危険極まりない行為であると、社会的な認知は進んできていますが、それでも自分が運転中にいつ被害者になるかはわかりません。
誰しもトラブルに巻き込まれて怖い目に合いたくはありませんよね。なんとかして事前に予防することはできないのでしょうか?ここから予防策と対応策の2つを考えていきたいと思います。
事前にトラブルを防止するための予防策にはどんなものがあるのでしょうか?以下の4つがあります。
相手に道を譲る
基本的な対策の一つは「すぐに道を譲る」ことです。
あおり運転をしている人は十中八九イライラしながら運転をしている人です。仕事が忙しくて急いでいるのかもしれないし、嫌なことがあったのかかもしれません。
なんにせよまともな精神状態ではありません。まともに取り合うだけ無駄です。間違ってもやり返したり報復したりするのはやめましょう。
もしかしたら自分がその切っ掛けを作っているのかもしれません。高速道路だったらいつまでも追い越し車線をゆっくりと走っている。一般道だったら追い越し禁止の狭い道でノロノロ運転をしているなど。
自分も他人の車もスムーズな運転ができるようになるように心がけて運転しましょう。
割込みや急ブレーキをしない
あおり運転の切っ掛けの中で最も多いものが、割り込みと急ブレーキをされたことだといわれています。
運転をしていて他の車が急に強引な割込みをしてきたり、前の車が急ブレーキを踏んで怖い思いをしたのが切っ掛けであおり運転をする切っ掛けになったことが多いようです。
他の車に怖い思いをさせられたことが切っ掛けで、「やり返してやる」と恐怖心が報復感情となりそれがあおり運転の原因となることが多いようです。
心の余裕を持って、自分にも他人にもストレスのない運転を心がけるようにしましょう。
必要以上に追い越し車線を走らない
高速道路ではほかの車両を追い越すための追い越し車線と、走行車線の2つがあります。追い越し車線は走行車線上の他の車を追い越すための車線です。
追い越すための車線に居座ってずっと運転を続けるのは禁止されています。このずっと居座る行為が他の車のドライバーの怒りを呼んで、あおり運転の被害を受けることが多いようです。
先を急いでいるのに追い越し車線でずっとちんたら運転されたら、頭にきますよね。
無駄なトラブルを呼び寄せないためにも自分の運転だけに集中するのではなく、周りの車にも気を遣って流れを止めないスムーズな運転を心がけるようにしましょう。
遅いスピードでノロノロ運転をしない
本人は運転技術に自信が無いために慎重に運転しているのかもしれませんが、周りからすれば何をチンタラ運転しているんだとしか思えません。皮肉なことですがこのノロノロ運転があおり運転の呼び水となってしまう事が多いそうです。
定められた法定速度を守ることは大事ですけれど、周りの車の状況を見ながらその時の適切な速度で運転するようにしましょう。
安全な運転を心がけていれば、多少法定速度をオーバーしていても罰せられるようなことはありません。
あおり運転の対応策について
これだけ予防していたとしても、被害に遭ってしまう事は残念ながらゼロではありません。あおり運転をしてくる輩と遭遇してしまった際にはどうすればいいのでしょうか?
あおられて無理やり停車させられても、絶対に車から降りない
あおられた挙句の果てに進行方向を立ちふさぎ、危害を加えるのを目的として加害者が車から降りてくるかもしれません。
この際に絶対にこちら側の車のドアや窓を開けてはいけません。
腹立たしいでしょうが、車体を叩いたり蹴ったりしてきても車から降りてはいけません。
その代わりに車内からスマートフォンで、相手と相手の車両のナンバーを撮影して記録に残しておきましょう。その後110番通報して警察に被害を受けたことを伝えましょう。
証拠映像を記録するためにドライブレコーダーを設置する
車両を傷つけられたり被害を受けた場合の時に供えて、ドライブレコーダーを車内に設置しておきましょう。
万が一あおり運転の被害に遭ったとしても、証拠がなくては警察に訴えにくいですし、運転していた当人の記憶だけではやったやってないの水掛け論になってしまいます。
また、通常の交通事故に備えるためにもドライブレコーダーは車の前後に設置して記録を取っておきましょう。
あおり運転の実際の体験談について
では、最後に実際にあおり運転で怖い思いをした人たちの体験談を見てみましょう。
後ろから煽られた
最もよく見られる危険運転です。実際に被害を受けた人たちの声をまとめてみました。
- 仕事先の現場から帰る途中の高速道路で大型トラックに煽られた。夜で雨も降っていたので視界も悪く本当に怖かった。
- 一般道を運転中に前の車が30キロぐらいの速度でノロノロ運転をしていたので、追い越したらいきなりスピードを上げて追いついてきてあおってきた。パッシングはしてくるしクラクションは鳴らしてくるしで危なくて仕方がなかった。
追い抜きざまに物を投げつける
後ろから追い越してきて、物を投げつけてくる行為もあります。
- 休日に遊びに行くのに一般道を走っていたら、後ろから追い越してきた車がペットボトルを投げつけてきた。内容物が人間の尿で臭くて汚くて最低だった。
- お盆休みで帰省するために高速道路を走っていたら、陸橋の上から石を落とされてフロントガラスが大破した。勿論、警察に通報したが犯人はいまだに捕まっていない。何を考えているのかわからないがこんなことは絶対にしないで欲しい。
車から降りてきて直接脅したり、暴力を振るってくる
危険な行為は最終的に直接的な暴力に行きつきます。
- 赤信号で止まっていたら、いきなり運転席を開けられて胸倉をつかまれながら「何考えてんだテメエ!」と怒鳴りつけられた。警察を呼ぼうとして携帯を取り出したら取り上げられて、車内に投げつけられて顔面を数発殴られた。
当事者たちのみならず周囲にとっても危険なあおり運転は絶対に止めましょう。
以上、あおり運転の特徴と対応策についてでした。