クレーマーに対しての対応に時間や労力をとられることは、企業活動の大きなダメージになります。
時には本当にこちらの商品やサービスに不手際があって、お客様に迷惑をかけているのかもしれません。
しかし中には購入した物に瑕疵がなくても、金銭的補償や利益を求めてくる悪質なクレーマーも存在します。
悪質でなくてもそうでなくても、クレーマーに対してどのように対応していけばいいのでしょうか?
この記事では、クレーマーに対する対応策を考えていきたいと思います。
クレームに対応する4つのポイント
クレームに対応するにはとても大事な4つのポイントがあります。
この4つのポイントに基づいて問題を解決していきます。
クレームの種類には大きく分けて3つあります。
- クレームの種類
- 商品に瑕疵があったり、こちらの応対がまずいことにより発生する通常のクレーム
- 最初から金銭的補償や利益を目当てにした悪意のあるクレーム
- 社会的常識から逸脱した異常なクレーム
大きく分けてこの3つに分類されます。クレーマーがクレームをつける理由は百人百様ですが、以下4つの段階を経て解決していきます。
- 問題解決のための4つのポイント
- 購入した商品でトラブルを抱えて困っているのを理解し、不愉快な気分にさせたことを詫びる
- 問題を具体的に把握して、原因を探る
- 問題を解決するための手段を提示する
- 解決したら再びお詫びして、相手の意見に対して感謝する
どんなクレームでもそうですが、まずは不快な思いをして感情を害している相手に共感することです。
問題が発生しているときはさっさと解決して解放されたいと考えますが、まずは相手の感情に共感しその後に解決策を提示していきます。
購入した商品でトラブルを抱えて困っているのを理解し、不愉快な気分にさせたことを詫びる
まずは、相手が不良品を購入したことにより不愉快な思いをしたことに対してお詫びをしましょう。これが、全ての対応の起点となります。
ただ謝ればいいというわけではなく、相手に対して「嫌な思いをさせてしまい申し訳ない」「再発防止のためにもお話をお聞かせ願いたい」という態度で応対するのが重要です。
相手が商品を購入することによって、どんなことを楽しみにしていたのか。
その想いが不良品を手にしてしまったことで損なわれてどんなに嫌な思いをしたかを理解し拝聴します。怒って感情的になっている場合は気持ちを落ち着かせるのを最優先にしましょう。
仕事で忙しいと面倒事は早く済ませてしまいたいと思う物ですが、そういった態度はすぐに相手に伝わります。
クレームを付けてきた相手には、まずは、気が済むまで自分の意見や感想を話してもらいましょう。
仕事で忙しくてもこちらの言い分があっても、まずは相手の言い分を聞くことがクレーム対応で最も重要なことです。
また、応対しているときは頷きやあいずちなど、相手の話を聞いていますよというボディーランゲージを大きくとるようにしましょう。
問題を具体的に把握して、原因を探る
クレームが発生したらなぜそのようなことが起こったのか、原因を究明していきましょう。
どんな些細なことでも記録し整理しておきましょう。
- 相手がどんなトラブルにあっているのか知る
- どんな問題が発生して、何に困っているのか
- 困っているのは本人だけなのか?他に困っている人はいないのか?
- 具体的に何が問題なのか?
- 相手はこちらに何もしてほしいと考えているのか?
以上のようなことを意識しながらインタビューを進めていきます。相手の発言に質問しつつ、問題点を整理していきましょう。
断片的な発言や意見を体系的な文章にまとめていきます。
正確な記録を取っておくことが、正確かつ迅速な問題解決の手助けとなります。
記録を取りつつ適切な質問をして、何が問題なのかを明らかにしていきましょう。
理解できていないことや、不便なことは何かを訊くことによって問題点を明らかにしていきましょう。
問題を解決するための手段を提示する
事実確認をして明らかにこちらの方が落ち度があると判断した場合は、対応策を練り速やかに提案します。
その際もこちらの都合を一方的に押し付けるのではなく、極力相手の希望に寄り添うような形にします。
誠意を見せる際も社会通念を逸脱した応対はしないように心がけましょう。あくまでも法律と社会常識の範囲内で対応していきます。
新しい商品と取り換えたり、代金を返還したりと深くお詫びをしながら解決していきます。
また金銭のやりとりが発生する際は、念のために示談書を用意して持っていきましょう。
文章に残しておくことで言った言わないを避けることが出来てトラブルの再燃を防ぐことが出来ます、双方の合意によってトラブルが収束したことを証拠に残しておくためです。
解決したら再びお詫びして、相手の意見に対して感謝する
相手にこちらの解決策や提案に納得してもらい、クレームが解決した場合でも不快な気分にさせてしまったことを丁寧にお詫びしておきましょう。
「こちらの問題を一生懸命解決してくれて、誠実な態度で誤ってくれるのか」と信用を高めるチャンスです。
相手がクレームを出していたということは、こちらの信用がマイナスになっていたということですから、こちらの対応次第ではそれをプラスに変えることが出来ます。相手の印象を良くするまたとない機会ですので頑張りましょう。
また、まともなクレームは商品や業務改善をするまたとない機会ですので、自社の仕事に活かしていくことを感謝の気持ちと共に伝えておきましょう。
自分の意見を取り入れてよくなっていこうと努力している姿勢は、相手を感動させこちらの信用をさらに高めることが出来るでしょう。
4つのポイントを押さえた実際のクレーム解決例
それでは、実際に問題解決の4つのポイントを踏まえたクレームの解決例を見てみましょう。建設用仮設資材の会社に勤めている住山さん(仮)のケースです。
クレームの発生
住山さんは建設用仮設資材の貸し出しをする会社に勤めています。取り扱っている商品は建築や土木工事の足場材を主に取り扱っています。
ある日、日本全国各地にある機材センターの一つからクレームが発生しました。足にキャスターが付いている折り畳み式の足場用機材に関するものでした。
クレーム発生
その商品はアルミ製の枠と、人が乗って作業するところに鋼鉄製の網が貼ってある商品でした。
クレームの内容はアルミ枠に溶接してついていた網がはがれていたという物でした。現場で使用する上では問題ないのですが、何かあったらまずいと言うことで対応することになりました。
問題を把握する
網はアルミ枠に溶接して取り付けているのですが、溶接部がはがれてしまっているのでそれを補修する必要がありました。
問題を解決する
網のはがれたところをステンレス製の帯でくくって固定することになりました。また、へこみなども2mm以上の物は廃棄することを基準で定めることになりました。
本来は過剰ともいえる対応でしたが、現場からのクレームを事前に防ぐことが必要とのことで改善することができました。
クレーム発生時にやってはいけないNG対応
頑張ってクレーム対応して、相手の怒りが収まってきてもこちらが不用意な言葉を発してしまったために、相手の怒りが再燃してしまう事があります。
解決しかけていた問題を複雑化させないためにも、やってはいけないNG例を知っておきましょう。
クレームを説明している相手の話を遮ってしまう事
相手は購入した物に対して不満があり、その事をこちら側に伝えたいと思っています。
まずはこちらに対しての言い分を全て吐き出してもらいましょう。
相手の話を聴いていて「それは違うだろう」「それはおかしい」と思っても、口には出さずにまずは徹底的に聴くことに徹します。
相手の話を遮ってしまうと、「なんだその態度は!?」と頭に血が上りますので、余計なトラブルなくクレーム処理をするためにも、まずは相手の意見を聴きましょう。
クレームの内容を疑ってかかる事
相手がとても信じられないようなクレームを付けてきても、まずは相手の言い分を聴くことに徹しましょう。
はじめから疑ってかかられると、相手が怒り問題がさらにこじれることになります。
一方的にクレームを拒絶しない
クレームに対して、「うちは悪くない」「うちの商品に限って間違いがあるはずがない」とよく相手の意見を聴きもせずに最初からはねつけるのはやめた方がいいでしょう。
本当に相手は困っているのかも知れないのに、最初からクレームを受け付けないのは大きなトラブルを自分から招いているようなものです
クレームをたらい回しにする
相手は困って何とかしてほしいと思ってクレームを出しているのに、違う人や部署にたらい回しにするのは絶対に避けた方がいいでしょう。
相手の怒りと不信感を買うのが目に見えていますので、最初に受けた人が担当して最後までやりきるべきです。
一人で抱え込まずに上司と相談しながら、解決できるように動いていきましょう。
調べなければわからないことは他の部署や詳しい人に聞きながら、最初に受けた人が相手との窓口となって応対すれば相手をたらい回しにしていることにはなりませんし、誠実な姿勢を見て相手も逆にこちらへの信頼を高めることになるでしょう。
以上、クレームの基本的な対応についてでした。