性的な言動で相手が嫌がるのを見て楽しむセクハラ。真面目に働いているし働きたいのに、それを阻害されるのは困ったものですよね。
この記事では職場内のセクハラの特徴と対応策について考えていきたいと思います。
セクハラの定義とその種類や特徴
セクハラとは性的嫌がらせの事であり、他者の性的な言動によって不利益を受けたり働く環境が悪化する行為全般を指します。
職場ですから多少の軽口は叩くものでしょうが、本人が冗談のつもりで言ったりやったりしたことで立派な「加害者」になってしまう事があります。昔なら冗談だよが通用しない世の中になっています。
セクハラには大きく分けて対価型セクハラと環境型セクハラの2つがあります。それぞれどういった違いがあるのか見ていきましょう。
対価型セクハラ
職場内の優越的な地位や役職の権限を利用して、解雇や降格や望まない部署への移動や、労働契約を更新しないことをちらつかせながら、性的な要求に応えるように迫るパターンです。事例としては次のような物があります。
対価型セクハラの事例
- 事業者が労働者に対して個人の性生活や過去の交際経験をしつこく尋ね、拒絶した場合に解雇や減給をちらつかせて脅すこと。
- 事業者が労働者をつれて出張で宿泊している際に、自分の部屋で酒を飲もうと誘ったが拒否されたので、降格したり後日他の部署へ移動させた。
環境型セクハラ
解雇や減給や降格や部署移動などの労働者が働く上での不利益はないが、就業環境を不快にして労働意欲をそぐタイプのセクハラです。放置していると労働者が退職したりしてしまいますので、職場環境の悪化を招く恐れがあります。
また、環境型セクハラには視覚型、発言型、身体接触型の3つがあります。
視覚型セクハラ
女性のヌードや性行為の写真や動画を目に見えるところで視聴することにより、就業意欲を低下させるセクハラ行為です。
本当に自分が視聴したいだけで、他の人間の目を気にしないというのもありますが、反応を見るためにわざと見せつける場合もあります。
反応を見るためにやっているのは、セクハラの前段階でもありその意味でも非常に悪質だといえます。
発言型セクハラ
卑猥な言葉を口にすることにより相手が嫌がる姿を見て楽しむセクハラ行為です。性的な冗談やからかいや食事やデートに執拗に誘うこともこれにあたります。またプライベートの秘密を意図的に流すのもこれに当たります。
身体接触型セクハラ
職場で通りすがりに胸やお尻を触ったり、仕事を教えている最中に不意に体に触ったりするセクハラ行為です。
方や頭をポンポンされたり、顔を異常接近させてジロジロ見るのもこれに当たります。
被害にあった友人の体験談
ここからは私の女性の友人が実際にセクハラの被害にあった経験を書いていきたいと思います。
友人は高校を卒業後に宝石・宝飾品の卸売りの会社に勤務したのですが、そこで悪質なセクハラに遭遇してしまいました。
彼女の仕事は営業で、宝飾品の会社に宝石やアクセサリーを販売する仕事をしていました。
その際に直属の上司が同行することを申し出てくる事が多かったそうです。会社の車で客先まで出向くのですが、運転は上司がしたそうです。
その際に赤信号で止まるたびに「俺たちの関係って運命だよね!」「こうやって二人っきりになれることを神様に感謝だよ!」満面のニタニタ笑顔で顔を彼女に近づけてきたそうです。気持ち悪いですね・・・。
お願いだから止めてくれと言っても「本当はうれしいんでしょ~」と取り合ってもらえなかったそうです。
また、そういった輩が外面がよかったりするんですよね。お客さんや社内の人間にはとても評判が良かったようです。
友人にセクハラをするのは必ず2人だけの時だけだったそうです。用心深くて絶対にしっぽを出さなかったんです。
たまりかねて会社の社長や役員に訴え出たそうなんですが、会社は親族のみで固めている同族企業でその上司も親族だったそうです。「彼がそんなことをするなんてあり得ない」とあしらわれて終わりだったそうです。
音声や映像などの確固たる証拠を残してから会社に訴え出るなり、訴訟を起こして慰謝料をとればよかったのにと彼女に言ったのですが、もう顔も見たくない同じ環境にいたくないの一点張りで、一年ほど我慢して退職したそうです。
最後の方はセクハラを受けていない時でも、涙が自然と出てきて「早く〇にたい」と考えてばかりだったそうです。
セクハラはただの嫌がらせではなくて、受けた人間の精神や人生そのものを破壊する行為であることを、彼女は教えてくれました。
セクハラの企業側のリスクについて
このような個人の尊厳を破壊するセクハラを放置することによって、企業はどのようなリスクを負うのでしょうか?
主だったものとしては以下のようなものがあります。
社員が働く気力を無くしてしまう
被害を受けた私の友人のようにセクハラを受けるような職場などは、仕事のやりがいどころか体調も精神もやられてしまいます。
セクハラを受けている当人だけでなく、それを見聞きしている同僚の意欲にも悪影響を及ぼします。
会社側が対策をとる気がないと判断されたら、見切りをつけられて優秀な人材から先に退職してしまうでしょう。
長期休職者や退職者を出してしまう
職場の精神疾患やうつ病などは、パワハラやセクハラなどが主な原因となっています。
特にうつ病は一端患ってしまうとなかなか治りにくく、長期にわたって心身に悪影響を及ぼします。最悪のケースでは自らの命を断ち切ったり、そこまでいかなくても退職してしまったりしてしまう事があります。
被害者が労災を申請することで、労働基準監督署に調査される
現在ではストレスによるうつを始めとした精神疾患は労災の認定対象となっています。
会社がセクハラの事実を認めるのが嫌で労災の申請を撥ね付けて、労働基準監督署(以下労基署)で申請をされるとそちらの方で受理されることになります。
申請の審査の過程で労働基準法違反があれば、会社に調査が入りその結果として経営者が書類送検されることもあり得ます。
セクハラの被害者に訴訟を起こされる
職場内でのセクハラということは、労働者を管理監督する会社側の責任も問われてきます。
セクハラを放置することにより被害者に訴えられた場合は、弁護士に依頼したりする訴訟費用もかかってきますし、訴訟そのものに無駄な時間をとられてしまいます。
勿論、裁判で敗訴した場合は多額の慰謝料を払わなければなりません。
会社の看板に「ブラック」の汚名が付いてしまう
もし、有名な企業が訴訟で訴えられるとマスコミで取り上げられて報道されることになります。
当然経営者や働いている労働者の家族にも知れ渡ることになります。世間の目にさらされることになりますし、肩身も当然狭い思いをすることになります。
そんな会社で働いている労働者も嫌気がさして辞めてしまう人も出てくるでしょうし、人を採用したいと思っても悪いイメージがついてしまっていますので人が集まらなくなります。
セクハラの会社側の防止策
このように被害者にとっても会社側にとっても、デメリットしかないセクハラをどのようにして防止していけばいいのでしょうか?会社側はセクハラの被害者を出さないようにするためには以下のような防止策が考えられます。
セクハラに対しての姿勢を鮮明にする
会社を経営している事業者本人が「セクハラを絶対に許さない」ことを全社内に周知することが重要です。口頭で言うだけでなく就業規則にも記載しておくといいでしょう。
労働者に安心して仕事をすることに専念してもらう環境を作るのと同時に、セクハラをすることを考えている人間に対して法的処分や懲戒解雇なども辞さないことを社内外に知らしめていきましょう。
実態調査
女性従業員が就労してもすぐに辞めてしまったりする場合は、就労環境の調査をしましょう。匿名でアンケートを求めたり何か問題がないかどうか現状を把握するようにしましょう。
社員教育
社員に対してセクハラやパワハラの研修をして企業方針を周知徹底させましょう。特に管理職には権限もあるためセクハラ問題の重要性を共有させておきましょう。
セクハラに対しての労働者側の対応策
労働者がセクハラに対応するには、客観的に間違いなく被害を受けている証拠を取っておくことが決定的に重要です。
加害者に対していつでも裁判を起こすことができるように、以下のような準備しておきましょう。
セクハラ行為に対してはっきりと拒絶する
相手の性的な言動が嫌で仕方がない場合はハッキリと「嫌ですから止めてください!」と意思表示をしましょう。
相手との関係を悪化させたくなくて、あいまいな態度をとるのは止めましょう。あいまいな態度をとられては「嫌そうな態度には見えなかった」「場をなごませるための冗談のつもりだった」などと責任逃れの材料にされてしまいます。
周囲の人から見ても明らかに被害を被っていると解るような態度をとりましょう。
置かれている状況を整理して、証拠を集める
加害者から被害を受けた日時や場所、加害者の言動を事細かにメモに取っておくようにしましょう。
また、ボイスレコーダーなどを使った実際の音声や、カメラ等を使って加害者の言動を録画しておくと強力な証拠になります。
自分を味方してくれる人を見つける
自分と同じような被害を受けている人を探したり、セクハラ被害を見ている同僚に被害を訴え出るときに証言をしてくれるようにお願いしましょう。
また加害者より上位の職位者に困っていることを相談してみるという手もあります。
外部の機関に相談する
セクハラの被害は労基署に相談することができます。又、告発などもすることができます。
労基署以外にも相談に乗ってくれる機関の窓口は、各都道府県の労働局の雇用環境・均等部や法務省のみんなの人権110番など様々な窓口がありますので、自分に合った機関で相談してみるといいでしょう。
内容証明郵便で抗議文を送る
どうしてもセクハラ行為が止まらないのならば、加害者や会社に内容証明郵便で抗議文を送る手もあります。
加害者本人もここまでされては「冗談だよ~」では済まないことがわかりますし、会社側もセクハラの実態を把握していていながら問題を放置していては、法的にも社会的にもペナルティーを受けることになりますので対応してくれる可能性が高いです。
民事・刑事で訴える
ここまで抗議してもセクハラ行為を止まらない場合は、加害者個人や会社に対して慰謝料の請求や刑事罰を求めて裁判の場で戦っていくことになります。セクハラ裁判に強い弁護士をつけて、訴訟手続きや方針を相談しながら進めていきましょう。
以上、職場のセクハラの特徴と対応策についてでした。