相手の事を良く知らず、こちらが好意を持っているわけではないのに、一方的な自己都合で人の気持ちも考えずに付きまとい行為や迷惑な行為や行動をとるストーカー。
時折ニュースで行き過ぎた行為が犯罪にエスカレートするのを見聞きすると、いざ当事者として自分の身に降りかかってきたときの事を考えると背筋が寒くなりますね。
全く面識のない人間から一方的に好意を抱かれて、執着されてある日から突然攻撃されるようになる。
もちろん当事者になりたい人などいないでしょうが、「その日」はある日突然来るかもしれません。
必要以上にうろたえることの無いように今から備えておきましょう。
この記事では個人がストーカー被害に遭遇した際に、有効な8つの対策と3つの相談先について紹介していきます。
ストーカーの定義と被害の主な種類について
ストーカーとは個人に対しての好意や拒絶されたことによる憎悪の感情から、つきまといや押しかけなどに始まり個人に対しての誹謗中傷や、最終的には直接的な身体に対しての物理的な危害を支配欲を満たすために行う行為全般を指します。
2020年現在警察の発表ではストーカー行為による相談件数とストーカー規制法による警告は減少の傾向にありますが、禁止命令は95件で増加傾向にあります。残念ながら被害者ゼロということにはならないようです。また、被害者の大部分は女性です。
こちらが嫌がるの目的として相手が仕掛けてくる、不快な思いをしたり迷惑に感じたりするストーカー被害は様々なタイプのものがありますが、ここでは主だった8つの行為を取り上げて説明していきたいと思います。
ターゲットに対して執拗に付きまとう、自宅や職場や学校の周囲をうろつかれる、相手を待ち伏せる、自宅へ押しかけてくるなど
ストーカーという言葉を聞いて、真っ先に頭の中でイメージできるのがこの行為でしょう。ストーカーの代表的な迷惑行為です。
ストーカーは好意を持った相手に対して、直接尾行していく先々に付きまとってきたり、仕事や通学や遊ぶために外出すると事前にこちらの行動を把握したうえで待ち伏せをしていたり、あなたが在宅中に直接押しかけてきたり、自宅の近くからこちらの事を何時間も監視してきたり、自宅の近辺をウロウロと徒歩や自動車で徘徊しているなどがあります。
こちらの行動を監視していることを直接告げてくる
あなたは今日も一日、職場での仕事や学校での勉強が終わって帰宅しました。
するとその直後に「おかえりなさい」「今日も一日お疲れ様」「今日は大変だったね」「〇〇の頑張りは俺が見ているよ」などと今日も一日中監視していたぞとアピールする電話がきたり、あなたがその日のいつの時間にどのような行動をとったのか、どのような服装でどのようにして過ごしていたのか、事細かな内容をメールやメッセージアプリで報告してきます。
一方的な面会や交際を要求してくる
「相手の事など知らないし知りたくもない」「一切かかわりたくない、直接会う気もないし交際なんてもってのほか」と、
あなたが相手の事を拒否・拒絶したりしているのに、何度拒否・拒絶してもこちら気持ちや意見は無視して、一方的に面会や交際を求めてきたり、以前交際していて感情のもつれやトラブルなどで嫌気がさして、もう別れているのに復縁を迫って来たり、要らないのに贈り物をしてきて何が何でも受け取るように要求してきます。
粗野な乱暴な言動をとって接してくる
大きな怒鳴り声で「馬鹿野郎!」「〇ね!」などの乱暴な言葉であなたの事を罵ってきます。
ものに当たり散らしたり、壊したりするような乱暴な行動をとったり、自宅の前で自動車のクラクションを長時間にわたって鳴らし続けたり、近隣に響き渡り回りが迷惑するほどの大声であなたの事を罵ります。
繰り返し行われる無言電話、連続電話・大量のメールやSNSのメッセージ
毎日のように朝から晩まで、執拗に電話を掛けてくるのだけど、電話に出て、こちらが問いかけても無言で何も答えない。
本当に迷惑だからもうやめてくれとこちらが拒否・拒絶しているのに、日常生活を送るのに支障をきたすほど通話で話しかけてくる。メールやSNSのメッセージを大量に送り付けてきたりします。
送り付けられたら不快に感じるような汚物や危険物を送り付けてくる
自己の体から排出された大小便などの汚物や、自動車にひかれたり自分の手で殺した動物のなど、あなたが送られてきて不快になったり、気分を害するものを自宅や職場に送り付けてきたり、誰もいない時にわざとらしく人目の付くところに置いて帰ったりします。
名誉や社会的立場を傷つけ貶めようとする行為
あることないことをわざとらしく騒ぎ立てて、あなたの名誉を傷つけようとしてきます。
SNSに誹謗中傷するような内容を書き込まれたり、正義のために告発するという大義名分を盾にしてあなたの私生活を攻撃するような内容をネット上に公開します。
時にはストーカーの標的の親族も攻撃対象になります。例えば親の勤務先の職場に電話を掛けて「娘が反社会的勢力と繋がりがある」とありもしないことをでっち上げて、肉親の社会的立場を傷つけてやろうとすることもあります。
性的なしゅう恥心を侵害してくる
あなたが嫌がるのを目的として、男性の局部を大きく映した写真や、男女が性行為を行っている動画を送り付けてきたり、あなたがアカウントを持っているSNS上に公開したり、嫌だから止めてくれと言っているのに卑猥な言葉を投げつけてきます。
ストーカーと判定する方法は?
日本の法律では特定の人に対して、以上8つの行為を繰り返しやることを「ストーカー行為」と規定しています。
場合によっては罰金や懲役刑を課されることもある立派な犯罪です。
このようなことに巻き込まれる前に、回避するのが一番賢明ですよね。
そこで現在交際しているまたは、これから交際する相手がストーカー化するかどうかの危険性を見極めるのに使えるポイントをまとめてみました。
以下のようなものがあります。
日々接していて相手の言動が怖いと感じることがある(交際中の相手の言動)
交際中に身の危険を感じるような言動
- あなたが朝起きてから夜寝るまでの行動を細かいところまで知りたがる。今日の食事は何を食べたのか、仕事で何かトラブルはあったのかなかったのか、帰宅途中にどこによって来たのかなど。
- あなたが自分の思い通りに動かないと怒る。真夜中の遅い時間に「今から会いたい」と呼び出してきて、明日も仕事があるから無理と断ると激しく怒り出すなど。
- あなたに暴力を振るったり振るうそぶりをする、乱暴な言葉を使う。直接殴る蹴るをしてきたり、物に当たり散らして壊したり、攻撃的な言動をあなたにしてきたりなど。
ついていけないと判断して交際を断った後や離婚後の行動
- こちらが拒否しているのに、何度もしつこく電話やメールを送ってくる。
- こちらの都合も考えずに一方的に会いにきたり、居場所を探し出して近づいてくる。
- 交際がうまくいかなかったのはあなたのせいだと責めてきたり、直接的に危害を加えてやると脅してくる。
- 交際終了後に関りを断ち切っても、あなたの友人や関係者に連絡をとって近況を探ろうとしてくる。
心当たりはないのだけれど、なんだか付きまとわれている感じがする。
ストーカー行為をされているようなのだけど、恨みを買うような覚えもないし誰にされているのか見当もつかないというのは、
それだけで精神的に不安になりますし危険な状態です。すぐに周りの信頼できる人か警察に相談しましょう。
自分以外にも他の人に対してストーカー行為をしていた
相手がストーカー化するのかを判断するポイントは以上3つがあります。
「まさか自分は被害に遭わないだろう」「そんな大げさに騒がなくても多分自分は大丈夫だろう」と思い込むことなく、少しでも不安を感じたり身に危険を感じるようなことがあれば、何か起こる前に対策をとったり、周りに相談するのが大事です。
ただの付きまといから、どんどん過激化していきついには犯罪に至ったケースには以下のようなものがあります。
- 付きまといが怖くなり引っ越した。もちろん相手には教えなかったが、新居の住所を調べて見つけ出してしまい家に押しかけられた。
- 若い頃に仲間内で遊んでいた時に、ふざけて撮った写真や動画をネット上で公開された。
- 「復縁してほしい」「よりを戻してほしい」と懇願するところから始まり、段々と言葉が激しくなっていき「ひどい目に合わせてやるから覚悟しろ」という脅迫のメールや手紙が来る。
- 自宅の郵便受けから請求書やダイレクトメールなどの配達物を盗まれたり、ベランダに干してあった服や下着を盗まれる。
- 自宅マンションの駐車場に止めてあった自動車を破壊される。
ストーカーに対する自己防衛策
これらの事例も最初は些細な嫌がらせからでした。
大きな犯罪へと拡大していくのは珍しい事でも不思議なことでもありません。
自分一人で抱え込んで悶々と悩んでいないで回りに相談しましょう。
ではここから8つの迷惑行為に対抗する自己防衛策を見ていきましょう。
ターゲットに対して執拗に付きまとう、自宅や職場や学校の周囲をうろつかれる、相手を待ち伏せる、自宅への押しかけなど
付きまといは一歩間違えると、暴行や強制わいせつなどの重大犯罪にいたる危険性があります。
まだ実害がないからと油断したりせずに、リスクが小さな時から適切に対応していきましょう。
- 外出先から帰宅する際に、夜遅かったり人通りがなかったりして不安な時はタクシーを利用する。
- 緊急時に大音量で周囲に危険を知らせることができる防犯ブザーを携帯する。
- 一人で悩んでいないで、警察や信用できる人や機関に相談する。
- 携帯電話は常に持ち歩きすぐに使用できる状態にしておくこと。
- 万が一ストーカーから危害を加えられそうなときは、ためらうことなく近隣の人や警察に助けを求める。
- ドアや窓には二重三重にカギを掛けておき、ドアにはスコープを設置する。
- ドアを開けるときは不審な人物がいないかどうか、周囲を警戒すること。
- もし不審者に遭遇した場合は、ためらうことなく助けを呼ぶ。
こちらの行動を監視していることを直接告げてくる
ストーカーはこちらの行動を逐一監視して、今日どこへ行ったかなにをしたか、その内容を事細かにあなたに告げてきます。
- ストーカーが告げてきたあなたの行動の監視報告の状況や内容を記録しておき、警察に相談する。
- すりガラスで外から中の様子がわからなくてもカーテンを付ける。
- カーテンは透けて見えない厚めの物にする。
- 在宅中でもストーカーの監視を遮るために可能な限りカーテンを閉める。
一方的な面会や交際を要求してくる
面会や交際などストーカーの要望に応える義務は一切ないことを強調して、毅然とした態度で断りましょう。
- 相手の要望をはっきりと拒否拒絶する。
- 身の回りの信用できる人や警察に相談する。
粗野で乱暴な言動をとってくる
面会や交際などの要求が通らない場合は、ストーカーは逆上して乱暴な態度をとったりものに当たり散らしたりするようなことをします。
- 身の危険を感じるようならば直ちに警察に通報する。
- 防犯ブザーを使用して周囲に危険にさらされていることを知らせる。
繰り返し行われる無言電話、連続電話・大量のメールやSNSのメッセージ
通話やメールやSNSのメッセージ機能など、ありとあらゆる方法を使ってあなたに対して誹謗中傷や嫌がらせをしてきます。
- 嫌がらせがあまりにもしつこければ警察に訴える。
- 電話会社やプロバイダー会社に相談する。
- 電話番号やメールアドレスを変更する。
- 相手方の受信を拒否設定にする。
送り付けられたら不快に感じるような汚物や危険物を送り付けてくる
ストーカーは排泄物や動物の死体など、不潔な物や手に取ると怪我をするような危険物を送り付けてきます。
- 届いて中身を確認してすぐに警察に届け出る。
- ストーカーが送り付けてきたものの内容と配達時間を記録しておく。
- 中身を確認するのも嫌ならば、受け取りを拒否してそのまま送り返す。
名誉や社会的立場を傷つけ貶めようとする行為
ストーカーはあることないことを並べ立てて、誹謗中傷することによってあなたに対して精神的苦痛を与えて痛めつけようとしてきます。
- 状況を記録して、自宅の近辺に貼り付けられた中傷を目的としたビラやネット上の書き込みはすべて保存しておくこと。
- 周囲の信用できる人や警察に直接相談する
性的なしゅう恥心を侵害してくる
ストーカーはありとあらゆる方法を駆使して、あなたの事を辱めてきます。
- 自宅の住所や、使用している携帯の電話番号、メールアドレスをはじめとする個人情報は厳重に管理すること。
- 請求書や通知などの個人情報が書かれた書類は、シュレッダーにかけるか細かく切り裂いて複数回に分けて燃えるゴミに出す。
ストーカーの体験談
ストーカーの被害に遭うとどのような目に合うのか?私の知人の話をしてみたいと思います。
男性Aさんのケース
Aさんは大学卒業後に勤務した会社でストーカー被害に遭いました。相手の女性につきまといをされて怖い思いをしたそうです。
出会いのきっかけは入社後の懇親会でした。入社後の研修が終わった後で皆で食事をしながらお酒を飲みつつ、楽しく話をしていたそうです。
その中にのちにストーカーの加害者となるBがいたそうです。Bはおとなしいタイプであまり目立たない女性でした。Aさんはほかの人と話すのに夢中でその時はあまり気にしなかったし。正直印象に残るような人ではなかったそうです。
その後、研修が終わり実際の仕事をするようになりました、Bも一緒の部署に配属され同僚として仕事をしていくようになったそうです。それからしばらくして仕事量が増えてきて忙しくなってきました。
そんな中Bは大量の仕事を抱えて参っていたそうです。あまり要領がいい方ではなかったのでしょう。そのような彼女の姿を見るに見かねてAさんはBの仕事を手伝っていたそうです。Aさん曰く「大量の仕事を抱えて遅くまで残ってるのが不憫に見えて」思わず手を差し伸べたそうです。
恐らくBはそのように他人に親切に接してもらったことがあまりなかったのでしょう。Bの中ではこれで交際していることになってしまったそうです。その後仕事が落ち着いてきたので、BがAさんにお礼がしたいということで居酒屋で飲んで食べて、楽しい時間を過ごしました。
その日はそれで終わり、連絡先を交換して別れました。
その後、今日仕事で何をした。休みの日に何を食べた、何をしたかという日常生活の報告をメールでしてくるようになりました。
Aさんも最初は律儀に応対していたそうですが、次第に辟易してきていちいち報告しなくていいよと伝えると「なんでそんなこと言うの!」と怒りのメールが飛んできたそうです。
その後日常生活のメールは止まったのですが、ある日仕事が終わり家に帰ると家の前にBが待ち伏せをしていたそうです。
するとAさんに対して「彼女が怒っているのになぜ放ったらかしにしているの!?」と喚き散らしてきたそうです。
Bと付き合っている気などまったくなかったAさんは、Bに対して異性として特別な感情を持っていないことを伝えたのですが、なら「なぜ優しくした」と聞き入れません。その後、騒ぎを聞きつけた近隣の人が警察に通報してくれて駆けつけた警察官がBをなだめて騒ぎを治めてくれました。
その後、Aさんは上司に相談しBは注意されて別部署に異動になりました。Bはその後しばらく勤務していたそうですが、退職してしまったそうです。
被害者も加害者も誰も幸せにならないのがストーカー行為です。このような行為はするべきではないとAさんから話を聞いたときつくづく思いました。
ストーカー被害を相談したり、訴えるには 【2021年最新版】
あなたが何度も拒否の姿勢をとっても、ストーカーが迷惑行為を止めようとしないのなら、一刻も早く信用できる機関に相談するべきです。
被害に遭った際には以下の3つに相談できます。
警察
実際に被害に遭った、現在進行形で被害を受けているのならば、一番信用出来て頼りにすることができるのがやはり警察です。
被害相談は各都道府県の県警本部の相談窓口と警察署の担当部門が受け付けています。
警察に相談することにより、以下のような対応をストーカーに対して行使することができます。
刑罰法令に接触していると判断できる場合
- ストーカー規制法違反、配偶者暴力防止法違反、暴行、傷害、脅迫、器物損壊、住居侵入、名誉棄損などに違反している場合は、検挙となります。
その他の対応について
- ストーカーに対して付きまとい行為や嫌がらせを止めるように警告・指導をしたり、身の危険を感じる場合には一時的な避難の支援や、自宅周辺のパトロールなどをしてくれることがあります。
男女共同参画センター
各都道府県の市町村が設置している、仕事や生活で悩みを抱えた女性の相談に乗る施設です。
面接相談、カウンセリング、法律相談、精神科医による心の相談などを受けることができます。
配偶者暴力相談支援センター
各都道府県の相談窓口や健康福祉センターにて、電話相談や面接相談、カウンセリングを受けることができます。
以上、ストーカー被害に遭った場合の8つの対策と3つの相談先でした。
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